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広島地方裁判所 昭和42年(わ)221号 判決 1967年7月06日

本店所在地

福山市伏見町四番二八号

商号

株式会社ラツキーセンター

右代表者代表取締役

村上秀行

本籍

福山市沖野上町一、三二四番地

住居

同市光南町二丁目五番一二号

会社役員

池口一仁

大正一四年七月四日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官桑野熊之祐出席の上、審理をして次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社ラツキーセンターを罰金一五〇万円に、被告人池口一仁を懲役四月に各処する。

但し、被告人池口一仁に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社ラツキーセンター(以下被告会社という)は肩書地に本店事務所を有し、ラツキーセンターと称してパチンコ遊技場を経営しているもの、被告人池口一仁は、被告会社の筆頭株主で、同社の業務全般を実質的に統轄しているものであるが、被告人池口一仁は、同会社の経理事務担当者である池上功一と共謀のうえ、被告会社の株主に対し裏配当をするためその業務に関して、法人税を免れようと企て、被告会社の昭和三八年四月一日から翌三九年三月三一日までの事業年度において、被告会社の所得金額が二三、五四一、三一二円、これに対する法人税額が六、九二二、一七〇円であるにも拘らず、毎日パチンコ売上金の現金収入があることを奇貨に、その一部を公表帳簿に記載せず、簿外現金とし、右パチンコ遊技場内の従業員用ロツカー内に保管し、これを簿外株主配当金(裏配当金)として支払うという方法で、所得の一部を秘匿したうえ、昭和三九年五月三一日所轄福山税務署において、同税務署長に対し、同事業年度における所得金額が七、三八二、四七三円、これに対する法人税額が二、五七三、九六〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度の正規法人税額六、九二二、一七〇円と右申告税額二、五七三、九六〇円との差額四、三四八、二一〇円の法人税を不法に免れたものである。

(証拠の標目)

判示冒頭の事実について

一、株式会社ラツキーセンターの商業登記簿謄本

二、内田勝運、藤中ミツ子、瀬戸辰次、池上功一、村上秀行の検察官に対する各供述調書

三、被告人池口一仁の検察官に対する供述調書

判示犯罪事実について

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書

二、大蔵事務官作成の山崎晴三郎、野田十郎、藤井正夫に対する各質問顛末書

三、内田勝運、藤井ミツ子、瀬戸辰次、池上功一、村上秀行の検察官に対する各供述調書

四、被告人池口一仁の検察官に対する供述調書

五、押収にかかる被告会社作成の福山税務署長宛自昭和三八年四月一日至昭和三九年三月三一日事業年度の所得金額法人税額の確定申告書(法人税決定決議書綴中、証第一号)

六、被告会社代理人池上功一および被告人池口一仁の当公判廷における各供述

(法令の適用)

被告人池口一仁の判示所為は法人税法(昭和四〇年法律第三四号)、付則第二条、第一九条により、法人税法(昭和二二年法律第二八号)第四八条第一項(第一八条第一項)に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で、同被告人を懲役四月に処することとし、情状により刑法第二五条第一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、被告会社に対しては、判示のごとく被告人池口一仁が、被告会社の業務に関して法人税法(昭和二二年法律第二八号)第四八条第一項(第一八条第一項)に該当する行為をしたので同法第五一条第一項、第四八条第一項を適用し、所定罰金額の範囲内において、罰金一五〇万円に処する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 田辺博介)

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